ンタ市場を牽引するハイパースケーラーは、技術力や製品力だけでなく、取引先の財務体質まで厳しく確認します。実際、「なぜ負債が多いのか」「自己資本比率は十分なのか」と質問を受けたこともあります。お客様にとって重要なのは、優れた製品を供給できることだけでなく、長期にわたり安心して取引を続けられる企業であることです。財務健全性は、単なる守りではなく、継続的なパートナーとして選ばれるための重要な競争力の一つだと考えています。
―成長を支える財務戦略の実行
2026年度に新たに公表した「ビジョン2030実現に向けた経営方針」(以下、2030経営方針)では、現時点で2030年度に連結営業利益 2,500億円、ROE 20%、ROIC 15%という財務到達水準を設けました。そのうえで、25中計での成果を土台に、資本効率経営を前提としながら、データセンタ関連事業※2を中心とした注力分野への積極投資を進めていきます。営業利益についても、データセンタ関連事業を中心とした成長を見込んでいます。
こうした注力分野への投資を着実に実行していくためには、資本効率と財務健全性を維持しつつ、創出したキャッシュを適切に配分していくことが欠かせません。CFOとして、2030経営方針の実行を財務面から支えていきます。
※2 データセンタ関連事業には、光ソリューション領域のLightera、情報コンポーネント領域のサーマル・電子部品、ファイテル製品、AT(半導体製造用テープ)、メモリーディスク、銅箔、光電融合デバイスが含まれます。
▍財務到達水準
| 2030年度 | (参考) 2025年度 | |
|---|---|---|
| 営業利益 | 2,500億円 | 639億円 |
| ROE | 20% | 19.1% |
| ROIC | 15% | 12.2% |
▍営業利益・営業利益率の見通し
| (億円) | 2025年度 実績 | 2026年度 予想 | 2028年度 到達水準 |
|---|---|---|---|
| ■データセンタ関連事業営業利益 | 235 | 610 | 1,300 |
| ■その他事業営業利益 | 404 | 340 | 400 |
| ■営業利益率 | 4.9% | 6.5% | 9.4% |
―稼ぐ力を成長投資へつなげる
今回お示ししたキャッシュアロケーションにおいては、2026~2030年度の投資額6,500億円、そのうち注力分野に対する5,000億円の戦略投資に注目が集まっています。しかし、最もお伝えしたかったのは、その投資を支える営業キャッシュフローの創出力です。「投資をするから利益が増える」ということではありません。十分なキャッシュを創出できるからこそ、成長投資を行い、財務健全性を維持しながら株主還元も実現できます。このキャッシュアロケーションでは、まず営業キャッシュフローの拡大を起点に、その範囲で成長投資、株主還元、財務健全性の維持を両立していく姿を示しています。どれだけ稼ぎ、そのキャッシュをどこへ配分するのか。その一連の流れを示すことで、成長戦略と財務戦略を一体としてご理解いただきたいと考えました。
成長投資が先行するため、短期的にはフリーキャッシュフローがマイナスとなる局面も想定しています。それでも投資を拡大できると考えているのは、一件一件の投資案件について、回収可能性を慎重に見極めてきたからです。特にデータセンタ関連事業では、お客様の需要が強く、投資回収までの期間も比較的短いと見ています。単年度のフリーキャッシュフローだけで投資判断を行うのではなく、会社の財務余力や人的資本も含めて、規律ある成長投資を進めていきます。
▍キャッシュアロケーション
▍25中計(2022~2025年度)合計