「ビジョン2030実現に向けた経営方針」(以下、2030経営方針)では、収益機会とリスクの両面から6つの経営上の重要課題を特定しました。そのなかで私が責任を担う課題は、「情報をベースとした社会基盤の創出」「社会課題解決に資する新しい事業への挑戦」「事業・製品ポートフォリオの最適化」の3つです。
具体的には、2030年に向けて、データセンタ関連事業※1を当社グループの中核的な収益事業として確実に成長させます。あわせて、2030年以降の新たな収益の柱として、再エネ・HVDC※2関連事業の基盤構築や新規事業の育成・創出にも取り組みます。それ以外の事業についても、製品ポートフォリオの最適化を追求して収益性を改善していきます。
特に、データセンタ関連事業を中心に経営資源を集中します。過去に例のない規模の投資を実行することで供給能力を大きく拡充し、主要顧客の要請に迅速に応えていきます。そのためには、人材の獲得・育成、キャッシュフローの適切な配分などを着実に進めなければなりません。私の役割は戦略を描くことだけでなく、変化の兆しをいち早く捉え、必要に応じて資源配分や優先順位を見直しながら、戦略を成果へと結びつけることにあります。
また、これまで以上に意思決定の迅速化と質の向上を図り、執行力を強化する必要もあると考えています。2026年度の組織改正では、本部制からCXO制への移行や本部機能の事業部門への大幅移管を実現しました。こうした経営マネジメント強化も、CSOのミッションの一つです。
※1 データセンタ関連事業には、光ソリューション領域のLightera、情報コンポーネント領域のサーマル・電子部品、ファイテル製品、AT(半導体製造用テープ)、メモリーディスク、銅箔、光電融合デバイスが含まれます。
※2 HVDC: High Voltage Direct Curren(t高電圧直流送電)
データセンタ市場では、主要顧客によるサプライチェーンの囲い込みや技術革新が急速に進んでいます。そのなかで、顧客のエコシステムに深く入り込み、不可欠なパートナーになることは非常に重要です。当社グループの強みは、データセンタが直面するさまざまな課題に対応できること、すなわち光通信の高度化から放熱・冷却、エネルギー問題まで広範な課題に対してトータルソリューションを提案する力です。これを武器に製品開発の初期段階から主要顧客の課題に応える提案を行い、長期的なパートナーシップをさらに拡大・深化させます。
また、データセンタ関連事業に加え、2030年以降の新たな収益基盤としては再エネ・HVDC関連事業に期待しています。HVDCに関しては、2030年までの間に新たな国内生産拠点を立ち上げ、超長尺直流海底ケーブルの技術開発やパートナー体制の構築・強化を進めていきます。
さらに、この成長機会を確実に収益化するには気候変動への対応も重要なテーマの一つです。近年、グローバル顧客とのパートナーシップ構築には、生産量を拡大しながらも温室効果ガス排出量を抑制することを強く求められるようになっています。炭素コストの上昇リスク等も踏まえ、再生可能エネルギーの利用拡大など温室効果ガス排出量削減を進めることで長期的な事業の成長を実現します。
| 2030年に向けた主な取組み | 2030年度 想定利益成長(2025年度比) | |
|---|---|---|
| Lightera※3 | 光ファイバ、ローラブルリボンケーブル、フェルールの増産投資を予定(順次実施);Lighteraグローバルでの供給最適化・最大化 | 4倍 |
| サーマル・電子部品※3 | 顧客との信頼・実績、高い放熱設計力をベースに競争優位性を維持;水冷モジュールの増産投資により、水冷モジュール売上高を2030年度で4,000億円規模に拡大 | 15倍 |
| ファイテル製品※3 | DFBレーザチップ、ラマン増幅用励起光源、SOA※4の増産投資;CPO用ELS※5向けDFBレーザチップ等の供給能力を大幅に拡大(新工場建設) | 10倍 |
| データセンタ関連事業 全体 | 8倍 |
※3 データセンタ関連事業のうち、3事業を例示しています。なお、データセンタ関連事業には、このほかAT(半導体製造用テープ)、メモリーディスク、銅箔、光電融合デバイスが含まれます。
※4 SOA: Semiconductor Optical Amplifier ※5 ELS:External Light Source (注)本図に記載の内容は、2026年5月19日時点の情報です。外部環境変化により、必要に応じて見直しを行います。