持続的な成長のためには、新たな事業の創出も不可欠です。当社グループでは、経営上の重要課題の一つとして新規事業の発掘・育成を進めています。
新規事業は、事業パイプラインを明確にして個々の事業進捗に応じた管理をしています。現在は、ライフサイエンスや超電導、レーザ応用を「スケールアップテーマ」として事業拡大と収益化を推進しています。また、グリーンLPガス、ソーシャルDX、エアロスペースを「インキュベーションテーマ」として育成し、将来の事業化を見据えた検証を進めています。今後、市場環境や技術動向の変化を踏まえて成長を加速するテーマもあれば、方向転換や撤退を判断するテーマもあると思います。重要なのは、テーマを増やすことではなく、明確なマイルストーンを設定し、継続的に進捗を検証することで新規事業のポートフォリオの質を高めていくことです。
さらに、新規事業は決して既存事業とかけ離れたものではなく、メタルやフォトニクスをはじめとする当社グループのコア技術を起点としています。そのうえで、自前主義にこだわらず、M&Aやベンチャーキャピタル、大学や他企業との連携を積極的に活用しながら事業化を加速していきます。
今は先行投資の段階にあるテーマも少なくありませんが、2030年以降の成長を支える事業パイプラインは着実に形成されつつあります。その可能性を見極めながら事業化を進め、次の収益の柱となる事業の芽を育てていきます。
2030年に向けた事業ポートフォリオについては、設備投資等のリソース配分の最適化を図り、2030年の収益構造として連結営業利益全体の80%をデータセンタ関連事業から生み出すという見通しを2030経営方針でお示ししました。まずはこの見通しの達成に注力することを基本とし、それぞれの事業において製品群単位で高付加価値な新製品の開発・拡販、収益性・採算性が低い製品の縮小・撤退、価格適正化、原価低減、生産性向上などを進め、製品ポートフォリオの改善に取り組みます。
一方で、事業ポートフォリオは固定的なものではなく、環境変化に応じて不断に見直していく必要があります。製品ポートフォリオの最適化を進めても、FVA※6あるいはROICや成長性を判断軸として事業の十分な改善が見込めない場合は、撤退や他社との提携を含め抜本的に見直していきます。また、その際、既存の事業区分にそのまま判断軸を当てはめるだけでなく、時々の市場や顧客起点で事業区分を捉え直すことも重要になります。当社グループが注力するデータセンタ関連事業という領域は、こうした考えから特定しました。
※6 FVA:Furukawa Value Addedの略称。EVAを自社向けにアレンジし、社内の経営管理指標として2022年度より導入。
2030経営方針は、当社グループにとって従来とは次元の異なる成長を目指す挑戦です。しかし、それは単なる希望的観測ではありません。データセンタ市場の成長見通しや顧客との長期的な信頼関係の構築、当社グループが持つ多様な技術や広範な事業基盤を踏まえれば、その達成は十分に可能です。
一方で、そのために多くの課題を乗り越えなければなりません。成長事業では、大規模な設備投資を着実に実行し、安定的な供給能力を確保することが不可欠です。また、事業拡大を支える人材の確保・育成や、成長投資と財務規律を両立するキャッシュフロー運営も必須になります。さらに、変化し続ける市場環境や顧客ニーズ、技術動向などに対する情報感度を常に高く持ち、その変化の兆しを早期に捉えながら、必要に応じて資源配分や実行計画を見直すことも重要です。
2030年に向けた成長シナリオを確実に実行へと落とし込み、その進捗を継続的に検証しながら成果につなげていきます。各CXOや事業領域長と連携し、注力事業の設備投資や研究開発、人材確保、新事業の育成や事業化、ポートフォリオの最適化――これらを着実に前進させることで、持続的な成長を加速させます。